
看護上の問題を明確に出来たら、具体的な看護計画の立案がスタートです。
その時に掲げる看護目標。
看護問題のひとつずつにつき、ひとつの到達目標を設定します。
今回もわかりやすいように身体面の問題と精神面の問題に分けてお話したいと思います

@身体面での看護目標
精神面の目標に比べると明文化しやすいと思います。
この看護目標を考える上でも大切になってくるのは「個別性」です。
例えば脳梗塞の患者さん。
左側の片麻痺を呈しています。
この患者さんの看護問題として「左片麻痺によるセルフケア不足」を挙げているとします。
この患者さんの看護目標として適切な表現とははどのようなものになるのか。
例えば、
「麻痺が改善し、セルフケアが自分で行えるようになる」
これは適切な看護目標ではありません。
まず、麻痺が改善するかどうかということは医師の治療やリハビリテーションによるものに関わっている部分で、看護介入によってどの程度麻痺が改善するとは言い切れないからです。
もちろんリハビリはリハビリ室で行う機能訓練だけではなく、病棟で目的を持って動くこと(食事を食べる、トイレに行く、靴を履くなど…)自体がリハビリと考えて関わる必要があるのですが。
このような場合、
「介助を受けながらセルフケアを満たすことができる」
という看護目標が適切となります。
看護上の問題が看護介入によって改善できる問題でなくてはならないことと同様に、看護目標もまた看護介入によって到達できるものでなくてはなりません。
A精神面での看護目標
精神面の看護上の問題を明確にすることが難しかったように、目標の設定も難しくなります。
例えば看護上の問題として
「手術に対する不安がある」
という事を挙げていたとします。
この時に
「手術に対する不安がなくなる」
とするのは適切な表現ではありません。
自分に置き換えて考えるとわかりやすいと思いますが、初めての手術を控えている時に、医師や看護師から何度も説明を受けたとしても完全に不安がなくなるという事はあまりないと思います。
この場合は、
「説明を受けることによって手術の流れについて理解できる」
「不安を持ちながらも前向きな気持ちで手術を受け入れることができる」
このような表現が適切です。
看護学生は精神面の看護上の問題をあげる時に苦労するのと同様に、精神面の看護目標を設定するのにも苦戦すると思います。
また看護上の問題の時にも書いたように予後に対する不安を持つ患者さんの看護目標の設定も難しいですね。
シビアな病状説明を受けた後の患者さん。
どうやってサポートしたらいいのか、実際に臨床で働いている看護師でも悩むところです。
でも看護師は話を聞くという以外の方法で患者さんの精神面のケアをする工夫が出来るという事を忘れないでください

不眠を解消できるような援助、家族と相談して外泊を計画する、持ち込み食中心に変えて食べる楽しみを作る、病床を整える、整容する…少し思いつくくらいでもたくさんの援助方法があるのです。
患者さんの不安を完全になくすという事はできなくても、少しでも不安から目を反らすことができる時間を持つことで、気分転換ができるということを看護目標に挙げてみましょう。
数回に分けて看護過程の展開について具体的にお話してきましたが、少し難しかったでしょうか

書きながら考えていたんですが、看護師ってやっぱりいろんな事を文章化する力が求められる職業だと私は思います
学生の頃は看護上の問題や目標の設定なんて、なんだか屁理屈のように感じていたくらいです

でもこの作業は「看護の主体は患者さん」という事を徹底的に頭に入れるための訓練なんです。
看護は万能ではありません。
看護師に出来ない事はたくさんあります。
その中で自分達に何ができるかを、患者さん中心に考えられることが看護師に期待されている事です。
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