
輸液ポンプとシリンジポンプ。
これらの機械は、厳密に指示通りの速度を守って輸液を行いたいという時に役立つ、とっても便利なアイテムです。
例えば1時間あたり40t以下の持続点滴の指示が出た場合、小児用輸液セットを使用して手合わせで滴下速度を調整することだって可能です。
でも、安静度がフリーの患者さんの場合に手合わせで微量滴下を行うとすぐに詰まり易くなります。
滴下も変動しますし…

あと、三方活栓がたくさん付いていて側管の点滴の指示がたくさん出ている患者さんの場合、やっぱり微量滴下を手合わせすると圧の関係で落ちにくくなります

そして微量滴下が必要な薬品の代表と言えば、昇圧剤・鎮静剤などがあります。
1時間で2tなんて、手合わせじゃ無理ですよね、絶対に。
もちろん逆の使い方もします。
化学療法中で1時間で250tを正確に落とさないといけない場合などです。
化学療法のメニューでよく見かけるボーラス静注(急速静注)も、シリンジポンプでショットします。
このように、現場ではなくてはならないというほど使用頻度が高い輸液ポンプとシリンジポンプ。
学生や新人の頃は、ME機器自体に慣れていないので、アラーム音がピーっとなっただけでうろたえてしまうかもしれません

今回はこれらの機械の取り扱い方の注意点についてお話します。
@予定量と予定時間をしっかりと確認する
機械の使い方自体は、そんなに難しいものではありません。
点滴ルートや注射器をセットしてボタンを押すだけで、予定量を注入してくれるという単純構造です。
すぐに慣れると思います。
でも、その慣れほど怖いものはありません。
慣れてくるとどうしても機械を過信したり、予定量と時間の入力を間違ったりするものです。
いくら正確に滴下速度や注入速度を守ってくれる機械だと言っても、機械の設定をするのは自分です。
「500mlの点滴を60ml/時間」で落そうとしていたのに(1本を8時間の予定)、誤って60と入力するところに500と入力してしまった為に1時間で終了してしまうというような事故がチラホラありました。
聞いていると信じられないと思うかも知れませんが、忘れた頃にまた同じような事故が起こります。
それもこの手の事故は、
新人よりも一人立ちしている看護師やベテラン看護師の方が起こすことが多かった…。
新人がME機器を触っていたら必ず誰かが点検に行きますから、意外と事故が起こらないんですね…。
人間は間違いを起こすもの。
完璧ではありません。
問題なのは1時間もの間、全く見に行かなかったということです。
点滴更新後やME機器装着後は10〜15分後に必ず再チェックにいきましょう

もしも間違いがあったとしても、10分後に訪床して気づくことができたらセーフになることっていっぱいありますよ

これはME機器使用時以外でも当てはまる事は多いですね。
AME機械を信用しすぎない
こんな便利な機械、考えた人は天才だと思いませんか

本当に頼りになる輸液ポンプとシリンジポンプ。
でも、やっぱり機械は機械です

人間みたいに
「あれ?ちょっと皮膚が赤くて抵抗があるけど、点滴漏れしてる

「ホントにそんな短時間で注入するの?間違ってない

「おーい、接続が外れて薬液が床に漏れてるよ〜

というところまでは気が回りません。
ポンプはただ、設定された通りに作動するだけ…。
だから患者さんの皮膚トラブルが起きようと、設定が間違っていようとお構いなしに滴下・注入をし続けます…。
怖いですね

特に注意したいのが血管壊死性の薬剤(抗ガン剤)やFOY(タンパク分解酵素阻害剤)の使用時です。
患者さんの皮膚にトラブルが起きかけていても、滴下・注入し続けます。
患者さんが痛みを訴えられる状態ならまだ早期発見は可能ですが、寝入ってる時や意識レベルがクリアでない場合は発見が遅れます。
ポンプのアラームがならないからと言って、滴下筒と残量だけ確認するというのは不十分です。
必ず刺入部の皮膚を確認してください

点滴による重篤な皮膚損傷を起こした場合、訴訟問題に発展することだってあります。
(こうなったら絶対に負けます。)
当たり前ですが、スタートボタンを押し忘れていても滴下してくれません。
セッテイングをしたところで満足してしまわないようにしましょう(笑)
でも最近の機械はとてもかしこくなってきているのは確かです。
いつまでたってもスタートされない場合の他、充電が切れそうな時、気泡が混入している時、残量が少ない時…アラームが鳴って知らせてくれます。
Bアラームの対処法
気泡・閉塞・残量・バッテリー…すべて問題がないはずなのに輸液ポンプのアラームが鳴りやまない。
こんな時、一度ルート交換をしてみることをお勧めします。
輸液ポンプは、樹脂製の点滴ルートをしごくようにしながら薬剤を送りだしています。
そのため、長期間同じルートを使用し続けていると、どうしてもルート自体が劣化してきます。
でこぼこになったルートを気泡混入と勘違いしてアラームが鳴っているのかもしれません。
交換が必要なほどまででこぼこになっているわけではないという時は、輸液ポンプに挟んでいる部分のルートをアルコール面でごしごし拭いてから再度はさみ直しましょう。
不思議とアラームは消えます。
その理由は…誰にもわかりません(笑)
でもみんなこうしてるんです。
そしてすごく効き目がある

根拠はよくわかりませんが、試してみる価値はありますよ。
あとポンプのアラームがどうしても消えないという時に確認してほしいのが、ポンプと輸液ルート・シリンジが同じ会社のものか、という事。
なぜか物流用品や機器に、「テ○モ」と「ニプ○」の製品が混合して置いてあるってこと、ないですか

実は同じように見えて、少しずつ違う規格…。
当然別の会社のものをつないだら上手く作動しなかったり、誤作動を起こしたりします。
セットする時に注意しましょう。
病棟にはこの2つ以外にもたくさんのME機器があります。
使用中に起こりうるトラブルを頭の片隅に置きながら、上手に活用しましょう

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