
看護学生が初めて就職活動をする時にどのような基準で看護学校を選ぶとよいのか

学内の進路相談でもきっといろいろ指導されると思いますが、
「就職先なんて自分でいいと思ったところを選びたい

と考えるかもしれません。
でも教官が大きな病院を勧めるのにはそれなりの理由があります。
今回は初めての就職先選びのポイントについてお話します

@診療科が多い
初めて就職する病院には、絶対に総合病院をお勧めします。
看護師になって初めの3年、いや、たった1年でもいいので総合病院で働いて下さい。
3年間の実習を終える頃には、徐々に自分の適性や興味のある科がはっきりしているはずです。
「急性期看護がしたい

「慢性期、終末期看護に興味がある

という感じです。
でも中には
「精神科看護を極めたい

「一生脳外で働く

というように、ある特定の科の看護だけに絞り込んで職場を選びたいと考える学生さんもいると思います。
そういう場合でも
総合病院の中の「精神科病棟」「脳外科病棟」に就職することを目指しましょう。
『卒業したての段階から「精神病院」「脳外科病院」などのような単科病院に就職する事はそんなにいけないことですか

『自分が情熱を持って取り組めると思える診療科にこだわる事はいけない事ですか

学生さんからのこんな声が聞こえてきそうです。
ちっともいけないことではありません。
むしろ学生のうちからそんなにも自分の興味がある分野について考えて、その道に進もうとしているという事は素晴らしいことだと思います

でも卒後すぐに単科病院に一旦就職してしまうと、とても偏りのある看護しかできなくなる事は間違いありません。
総合病院のある科で働いていても同じだと思うかも知れませんが、ずいぶん違います。
例えば消化器内科で働いていると消化器内科の疾患と看護にとても詳しくなります。
だからたまに循環器内科の患者さんが入院してきたり、脳外の患者さんが入院してきたら結構焦ります

同じ領域を扱う消化器外科の患者さんでさえ、久々のオペ出しとなると、オペ室の申し送りを済ませた後には嫌な汗をかいている自分に気づきます

看護師は診療科による業務の独占がないので、内科に配属されたら内科の看護師になるし、次の日に外科に異動になったらその日から外科の看護師になれます。
そのくらい学内よりも現場で覚えて勉強することが多い職業なのです。
だから、自分が働いているメインの科以外の患者さんが入院してきたときには大チャンスです。
日頃見ることができないような治療の実際を看ることができるし、国家試験勉強以来忘れかけていた病名や薬品名を患者さんの看護を通して学び直せる貴重な機会だから。
総合病院にいると、苦手なことから逃げたくても逃げれません。
例え何年目の看護師であっても、初めての事は出来ないんですよ…

そういう謙虚な気持ちで勉強を積み重ねることができるのが診療科の多い病院で働くことのメリットだと私は思います。
単科病院に行っても、その科の疾患だけではなく複数の既往歴や合併症を持つ患者さんはたくさん来ます。
総合病院などで経験を積んできた看護師は患者さんの「全身」を看るということを体で覚えているので、柔軟な対応・危険を予測した看護・適切な指導ができるでしょう。
でも、始めからある特定の科の患者さんしか入院していないような病院に就職してしまうと、自分の知識も経験も偏ってしまいます。
長い看護師人生のうちの初めの3年目くらいまでは、今後の自分の幹となる部分を形成する大切な期間です。
この期間に出来るだけ幅広い視野を身に付けた後から、興味のある分野に進んでいくようにしても遅くはありません。
Aフィーリングが合う
フィーリングって…

かなり抽象的なことですが、とても重要です。
つまり「自分がその職場で働いているイメージをしっかりと持つことができるか。」という事です。
多くの看護学校・大学などでは、附属病院への就職を勧められる傾向が強いと思います。
どこも7:1看護基準を満たすために、新人看護師の確保に必死なので。
メインの実習施設だっただけに、付属病院への愛着があるという学生さんは教官に勧められるままに(笑)附属病院への就職を決定するでしょう。
そういう場合は特に悩む必要がありませんが、中にはどうも付属病院の風土が自分には合わないと感じる学生さんもいると思います。
こんな風に、どこかもやもやしたままで就職先を決定するのは避けましょう

毎年夏頃から見学会を実施する病院が増えていきます

自分で情報収集して参加してみましょう。
看護部の雰囲気がよくわかります。
あと、そのような見学会に参加する時間もないし、一人でこっそり見に行った方がいいや…という人は、どんどんこっそり見に行きましょう。
私は意外と現場見学会よりもこっそり見に行った方が病院の雰囲気がわかっていいと思います。
外来患者さんの層や病棟看護師の雰囲気、活気など、覆面調査員気分で見て回りましょう。
売店と食堂も見て下さいね

しょうもないことのように感じますが、毎日仕事する場所なので結構重要

くれぐれも病棟内を見て回る時は不審者と間違われないように気を付けて下さいね。
最近は防犯上の問題も兼ねて、ナースステーションで名前を書いてからでないと入れてもらえないと思います。
そんな時はエレベーターホールから遠巻きに見てみましょう。
現場見学会で看護部長に案内されて病棟を回っても、みんなちょっとかっこつけてるのでいつもの雰囲気じゃないので…(笑)
同級生もみな、こんなふうに病院を勝手に見に行っていました。
そして病院の立地条件もとても重要です。
通勤経路を実際に確認したり、一人暮らしするとしたらその辺の家賃の相場はどうかとか…。
交替制シフトで夜勤をするので、病院に近い場所にしか住みたくないと考える看護師が多いですね。(私もこのタイプでした。)
逆に、休みの日には病院があるエリアからちょっとでも離れないとリフレッシュ出来ないからと、遠くても実家から通ったり、あえて電車でひと駅かふた駅の所にマンションを借りている人もいました。
院内や病院周辺を歩いてみると、ホームページやパンフレットでは分からないような病院の雰囲気がひしひしと伝わってきます。
皆さんもぜひ、わくわくしながら就職先を選んでくださいね

以上、初めての就職先選びのポイントについてのお話でした。
就職先選びの重要ポイントとなる卒後教育システムについてのお話は、また次回。
私が希望の病院で働けたオススメの転職サイトはこちら
