
卒後初めて就職する病院は「総合病院」をお勧めします。
その理由のひとつ目が、「診療科に偏りがないため、患者さんの全身を看る訓練ができるから」。
そしてふたつ目が、「卒後教育システムが整備されているから」です。
決して単科病院は卒後教育システムが整っていないと言っているわけではありません。
単科病院でも、その病院独自の教育制度が充実していて、新人が一人立ちするまでのサポートはもちろん、中堅・ベテランになるとリーダーシップ研修などを受けることができるでしょう。
ただ、総合病院で卒後教育を受けた方がより「様々な診療科の患者さんに対する、系統立てた看護」を学びやすいという事は確かです。
卒後教育システムが整備されている総合病院には、「院内マニュアル」が整っているはずです。
この院内マニュアルの中の一つに、その施設独自の「標準看護計画」があります。
本やファイルにもなっていますが、病棟に設置されているパソコンからももちろん簡単に検索して、印刷することができます。
だから自分が勤務している病棟のメインの科の患者さん以外の患者さんが入院してきた時や、メインの科以外の疾患が既往歴にある場合は大変便利です

例えば、消化器内科で働いている時に大腸の疾患の治療目的で入院してきた患者さんがいるとします。
その患者さんは糖尿病にもかかっていました。
この患者さんに対しては、大腸の治療と並行して糖尿病の治療も行われます

ご存じのとおり、糖尿病には恐ろしい合併症がたくさんあります。
糖尿病性網膜症・末梢神経障害・腎障害…などがその代表ですが、総合病院で看護するとその患者さんの「全身の治療・看護」をすべて見ることができます。
血糖コントロールがうまくいかないなら内分泌内科へ、視力障害が進んだら眼科へ、腎障害が進んだら腎臓内科から透析へ、足壊疽を起こした場合は外科へ(最悪切断になります)…という感じです。
大腸疾患の治療をする消化器内科の医師が他科の医師に紹介状を出すと、同じ院内のそれぞれの専門の科の医師の外来を受診することができます。
場合によっては転科(診療科が変わること)・転棟(メインの診療科のフロアに移動すること)・共観(2つの科が同時に同じ患者さんを受け持つこと)…というような入院・治療経過をたどる患者さんもたくさんいます。
看護師はこのような他科の医師とのやり取りを、紹介状の返信欄やドクターカルテから全て読むことができます

これがとても勉強になる

そして日頃はあまり接したことのない科の医師と実際に話をしたり、実際の治療を見たりすることで、国家試験以来フリーズしていた自分の知識をもう一度掘り起こして、患者さんの看護を通して勉強し直すことができます。
新人時代からこのような経験をからだで覚えておくことはとても大切です。
配属された科以外の事までなかなか十分に予習・復習するところまで、正直手が回らないというのが本音でしょう…。
でも、そんな未熟な新人の指導にあたる先輩も、同じように院内マニュアルや標準看護計画を元に勉強してきたことは確かです

実際に同じ院内の違うフロアから異動してきた先輩もたくさんいるでしょう。
このように総合病院では新人指導にあたる先輩が、他科の看護に全く関わったことがないというような事はまずはないでしょう。
そこが単科病院の卒後教育との最大の差です。
単科病院にも総合病院で経験を積んだ先輩がいるはずですが、その知識は確実に過去のものとなっているはずです。
スタッフがどんどん新しい治療や看護が取り入れられるような総合病院で常にアンテナを張っている状態は「新人指導」という観点で考えるとその差ははっきりしています

そして単科病院の入院中の患者さんは、院内で出来ない特殊治療(透析や他科の手術など)を受けることになったら、転院になってしまいます。
これでは状態が変わった患者さんのその後を看る経験ができなくなってしまいますね。
総合病院の場合、患者さんが転棟してもオーダリング画面から治療経過を確認したり、主治医に病状を聞いたりできるので、「あの人は、今…」のような感じで患者さんの事がわかります。
もちろん、数ヵ月後に廊下で再会ってことも良くある話…。
以上が、私が総合病院で卒後教育を受けることをお勧めする理由です。
就職先選びの際の参考にしてみて下さいね

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